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ベストな育成方法を探す − ◆水上育成編◆



C.ユウジィ

種別毎に鉢植えして育成します。湿度をある程度に保つ必要があるので、水槽(衣装ケース等でも可)などの育成ケース内に収容し、腰水で管理します。
水中では育成難と言われるクリプトコリネ(主にブラックウォーターやピートスワンプなど酸性土壌を好む種)をこの方法で育成します。
また、クリプトコリネ特有の独特の花を楽しむことが出来るのが魅力でしょう。

水上育成ケース

◇水上育成が向いていると思われる種◇
C.fuscaC.griffithiiC.linguaC.longicaudaC.minimaC.purpureaC.thwaitesiiなど水中での長期維持が難しい、どちらかと言えば丸葉系のクリプトコリネ
C.プルプレア


まだまだ経験が乏しく、我が家の育成環境も苛酷なため、長期維持に課題が残ります。
参考程度に...

植え込み

クリプトコリネの種類や育成目的等により、配合土または水苔による鉢植えを行う。
でも最近は配合土に悩むぐらいなら水苔ポン植えでも良いのではないかと感じています。

(1)配合土植え
自生地のデータを参考に弱酸性・酸性向けと中性向けで配合土の成分を変えて植えてます。

■弱酸性・酸性向け
赤玉土、鹿沼土、ソイル(私の場合、主にマレーヤを使用)を混ぜます。
鉢底に長繊維ピートを一握り置くか、配合土に混ぜます。
腐葉土を混ぜても良いと思いますが、使うなら完熟腐葉土を使うことお勧めします。腐葉土を使用するとカビに悩まされることがあるので、家では最近は使用頻度が減ってます。
より酸性向けにしたい場合は、長繊維ピートの使用分量を増やします。

■中性向け
赤玉土に桐生砂をベースに珪砂や大磯砂を混ぜます。
根腐れ防止でミリオンAを使う場合は、鉢底に少量使用する。

鹿沼土、赤玉土は硬質のものを使いたい。水上育成において、「通水性」は重要なポイントになるため、いずれの用土を使うときも、ふるいで必ず微塵を抜くこと。
以前、山野草用の培養土を単用してみたりしましたが、低pHを好む種類にはあまり好結果を生みませんでした。

(2)水苔ポン植え
最も簡単な植え込み。鉢底ネットも肥料も要らない、お手軽な方法。
酸性土壌を好むクリプトコリネには向いていると思います。
乾燥水苔は、枝とか屑の少ない良質のグレード、なるべく3A以上の上級品を使いたい。
高級品であればあるほど、長さも充分あり使いやすい。
水に漬けるなどして、乾燥水苔をもどす。育成種によって以下のように使い分けてます。

■弱酸性・酸性で使用したいとき
デリケートな状態の株には、霧吹きして湿らせたもの(ヒタヒタにしない)をビニール袋に入れて密閉し、日光に当てフサフサに膨らませたものを使用します。
手っ取り早い方法は、バケツの水に1時間程度漬け込んで、軽く絞ったものを使用します。繊維質を保つのに強く絞り過ぎないのがコツかと。

■中性で使用したいとき
バケツの水に漬け込んで1日程度ほったらかしにします。
そこまでしなくても良いと思いますが、私の場合は途中で水を入れ替えたりもします。

植え込みは、なるべく根を広げ、それを包み込むようにして鉢植えします。
この際、水苔をぎゅうぎゅうに詰め込み過ぎないよう注意すること。

水苔ポン植えのデメリットとしては、半年から1年ぐらいで調子を上げられないとその後が厳しいです。
なぜなら長い期間を要すと、、、

 水苔自体が限界を迎え、植え替えが必要となる
  V
 調子をくずす
  V
 ようやく復活
  V
 最初に戻る(植え替え時期となってしまう)

など、いつまでたってもサイズアップしない負のスパイラルに陥ることに。。。

肥料

配合土に混ぜるならマグアンプKが良いと思う。(りん酸不足を補うのに赤玉土には特に有効では?)
多肥を好む種(ロンギなどピートスワンプ系の種に多い)には、マグアンプKや鉄力あぐりなどの元肥を使います。
鉢底にパワーサンドを用いても良い。
腰水交換時、2000−3000倍程度に希釈したハイポネックス微粉を施肥。(毎回でなく葉色や株の勢いを見て)
時々有機液肥を気まぐれで使用。

CO2・エアレーション

CO2添加の必要なし。
腰水へのエアレーションはケース内の湿度を高めたいときや、子株の育成には大変有効だと思う。

照明

蛍光灯で問題なし。60cmケースには18W1本、植物育成管でなくて可。
遮光は必要だが、少し日光にあてたほうがしっかり大きな株に育つ。
ケースの設置場所として理想的なところは、温度変化が激しくない場所が良いと思います。(南向きの部屋では寒暖の差が激しい、西向きは夏つらすぎです)
葉が寝てしまう場合は、その草に対して照度が強い/あっていないことが考えられます。特に茶葉系はこの傾向が顕著に表れると思います。

温度、湿度

暑さには強い(元々熱帯産ですよね)が、蒸れには弱い。
育成ケース内の湿度の変化を少なくしてあげる(夏期の高湿度を避ける、冬季の低湿度を避ける)のがキーポイント。
葉が「溶ける」のは蒸れた時に起こりやすい症状です。 家では夏場や、気温の上昇・下降幅が大きい時期は、ケース内の換気をマメに行う(空気を動かしてあげる)ことで、「溶け」の発生を抑えています。
湿度は70%程度を基本に、季節や育成状態により、ふたの開閉量で調節します。

育成する環境として極端に暑い/寒い地域、あと盆地等にお住まいの方は、育成ケースを置いている部屋自体をエアコンで温度調節したほうが精神衛生的にも良い結果を生むのではないでしょうか。
自分はエアコンが使用できない場所で育成しているため、夏場は本当にしんどいです。エアコンうらやましいです。

腰水

(1)水質
育成ケースの腰水は、カルキ抜きした水道水で十分だが、より理想的な育成環境を目指すなら自生地の水質を参考にして使い分けたい。
私も、「酸性を好む種」「中性/弱酸性を好む種」で育成ケースを分けて管理するようになってから、特に酸性を好む種の長期育成において良い結果を生んでいます。
 (ささきさん、Frontierさん感謝です)

■酸性向け
長繊維ピートを使って低pHに調節した水を用いる。
洗濯ネットに長繊維ピートを適量入れたものを腰水に漬けておくのでも良い。

■弱酸性・中性向け
カルキ抜きした水道水、または状態の良い水槽の水を用いる。

(2)水位
用土植えのクリプトコリネを収容する場合は、比較的浅めの水位が向いている。
水位は鉢底から1cmぐらいを目安に。(湿っていれば十分、ただし幼株の場合はより湿潤にしたほうが良いです)
エアレーションを行う場合はさらに深め(2〜3cm)でも問題ない。

水苔植えのクリプトコリネを収容する場合は、保水性は極めて高いので水位はごく低め(1cm未満、数mm)か、ほとんど無くても(鉢底が濡れている程度で)良い。
水位が高いと水苔の痛みも早く、最悪は根腐れを起こしてしまうことがあります。

復活の呪文

葉が全て溶け、根だけになってしまったり矮小化するなど、消滅の危機に立たされたときは、私は次のいずれかで復活に賭けます。

[A]とにかく、いじらずにひたすら待つ
[B]状態の良い水槽に浮かべる、いっそ植えてしまう
[C]ECR;救急クリプト救命室に隔離

コツのようなもの

●状態の良い株選びが成功の近道。信頼のできるショップで購入しよう

●いじりすぎない 反応がないからといって頻繁に植え替えたりしない

●病気の予防やカビの発生を防ぐためにも定期的な換気が大切

●ふたを閉め忘れない(^^);;;

●水をきらさない(^^);;;;;

●葉が溶けはじめたら早めに取り去る
 ...でも全溶けは忘れたころにやってくる

●あきらめない
 たとえ溶け溶けで葉が一枚も無くなってもあきらめない

●水量が少ないためオートヒーターは使用しないほうが吉

●輪ゴムは切れるぞ(泣 意味不明)

●水上でどうしてもダメなら水中でチャレンジしてみよう! ん?無限ループ...

[2003.03.17/2010.05.03付記、訂正]



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