[Cryptocoryne]

ベストな育成環境を探す − ◆植え替え編◆



「植え替えは、植物にとって相当なストレスをもたらす」 = 調子を崩す恐れがある
   でも、
「植え替えは、いつかは行う必要が生じる」

いつかは植え替えを行わなければならないのなら、必要と感じたら少しでも株の調子が良い・体力があるうちに行ったほうが良いと思いませんか。


植え替えの目安

  • 子株の発生による株分け
  • 成長による根詰まりの防止、収容鉢のサイズアップ
  • 用土や育成環境が合わないなど、成長が著しくない場合
  •  (鉢をそっとあけて根の状態を見てみよう。根が溶けていたり、用土がドブのように臭う場合は、直ちに植え替えしたほうが良いです)
  • 肥料分など塩類の用土への蓄積回避
  •  (2-3年のスパンで調子を崩す株が発生するのは、この理由でしょうか?)

    調子をくずした株

    調子をくずし気味のフスカ。ひねくれた葉が展開、新芽の展開が悪い。

    密生した株

    葉が密生したcf.プルプレア。新芽も小ぶりとなり苦しそう。


    1.事前準備

      (1)希釈液(培養液)

        [A]1000mlあたり木作液0.5cc、メネデール1cc、ハイポネックス活力液0.5cc、水または水槽水で希釈したものを適量
        [B]1000mlあたり木作液0.5cc、メネデール10ccを水または水槽水で希釈したものを適量

      (2)素焼鉢(30分以上水に浸しておく)

      (3)用土(赤玉土、鹿沼土、砂利(桐生砂や川砂、海産砂等)、ピート/腐葉土またはヤシガラ繊維)、水苔(乾燥水苔は一応水で戻しておく)

      (4)収容ケース(育成初期は照明不要)

      (5)プラケースまたはECRの準備

      (6)タグ(用土の配合比率を変えるなど、複数の植え込みを行なう場合は、用土の内容をタグに記載しておき次回に役立てよう)


    2.株分け

      (1)取り出し
      植え替え元の鉢からの取り出しは慎重に、新芽を折らないように、根を不用意に傷つけないように。
      清浄な水または水槽水で洗浄しながら古い用土を落とすと、根のダメージを少なくできる。
      このさい、園芸と同様で全てを綺麗に洗い落とす必要はないです。
      古い用土の一部は新しい用土にできれば混ぜたい。(注:古い用土が腐っているようなら混ぜないこと)

      根が窒息

      鉢をあけると、根が窒息しそうなほど密生してしまいとぐろ状に。株分けやサイズアップが必要だ。

      (2)株分け
      子株の切り離しや、余分な根を整理する。
      溶けている根は、清浄な水で洗浄しヌメリをとっておく。

      株分け例1

      【株分け例1】
      本来は親株とランナーが繋がっていたはずの子株も根が溶けていたため、先端部を切り落とすことに。
      中央の2株は繋がっていたが右側の株は根塊も含め溶け気味。リハビリへ一直線。勢いのある株を優先に根を切り離してみた。

      私の場合は、葉数が3枚程度の株や葉長が1cmに満たないような小さな株は、切り離さず親株に付けたままで植え込みを行ってます。
      切り離した根で成長点が期待できるもの(とげとげがあるもの)や、芽をつけているランナーは、状態の良い水槽に浮かべるか、水苔で包むなどしてECRに収容して増殖を試みよう。

      株分け例2

      【株分け例2】
      幸い溶けは発生していない。密生しすぎてしまった根は、太い根を除き切り離す。
      葉が展開しきっていない子株のランナー(矢印)は切り離さず、親株につけたまま植え込みを行なう。

      処置が終わった草は、植え込み直前までのしばらく間、希釈液[A]に浸しておきます。

      希釈液[A]

      希釈液(培養液)の漬け込みは、初めての水上育成の植え込みでも有効だと思う。

      ★株分けや植え込みの間、根や葉が極端に乾燥せぬよう気をつけよう!
       (部屋の湿度に注意し、必要によりスプレーする)


    3.植え込み

      切断面は必要により、根腐れ防止としてハイフレッシュなどをふりかける。

      ハイフレッシュ

      ハイフレッシュ(Hi-Fresh(R))の成分は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムが主で、植物の植え替えの時の根のストレス緩和、根毛育成に良いとされています。園芸コーナーで売られてます。

      植え込みは、なるべく根を広げて慎重に、手早く行なう。

      深植えは総じて良い結果をもたらさないと思う。株元の部分(根との境界)をほんの少し用土から出したほうが良いと思われます。
      (調子を崩している草の多くは、用土にめり込んでませんか、例えばストリオとか(笑))

      植え込み1

      鉢底には、根腐れ防止としてミリオンをひきます。

      植え込み2

      腐葉土を気持ち混ぜたいところ、今回は園芸培養土のココブロックを混ぜてみました。

      植え込み3

      植え込み完成!

      植え込み完了時は、希釈液[B]にたっぷりと漬け込みを行い、微塵抜きを何度か行なった後に素早くケースへ収容する。

    希釈液[B]

    水苔の場合は微塵抜きする必要はありませんが、たっぷり漬け込みは行います。この時、クリプトの葉を希釈液に漬けないよう気をつけよう。


    4.収容

      植え込み直後から新芽の展開までの間など、しばらくの間は、クリプトのストレスを緩和させるため、照明のないケース(衣装ケース等)に収容し維持管理します。

      新芽が展開する/草姿に張りが出るなど、ある程度、用土に馴染んでから照明のある本ケースに収容変更します。

      私の場合は、慣らしのケースの腰水は、水槽の水を使用し、1cm未満の低めにしてます。
      植え替え直後のストレスがかかっている根に対して、酸素不足は良くないのではないでしょうか。
      (成長過程の結果として、嫌気層へ成長点が伸びるのは問題ないと思います)



    | Home | Cryptocoryne Top | 育成方法 |